022539 ランダム
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見習い魔術師

見習い魔術師

見習い魔術師

序章

時はカルダムからヘルナスに移り、早316年。
主国であるカルトマーネの国は、花の月――栄花に入り、6日を経ていた。
丁度、花祭りの最中で、街は大きく賑わっていた。
さて。
妖精や幻獣、はたまた魔術や錬金術までが、当り前のものとして飛び交う
この世界では、不思議なもの、不可解なものは数多くある。
この、カルトマーネの国にも。
『惑わしの森』。
国の最西部に位置するこの森は、その内部を知られていない。
なぜなら、この森に入った者の殆どは、いつのまにか森の入り口に戻ってくるのである。そのため、この森は自分の意志を持っているのではないかと噂されている。
しかし、その噂、あながち嘘ではない。
『意志を持つ森』は、惑わしの森の奥に、身を潜めているのだから。
『生きる森』。
それが、意志を持つ森の名である。
しかし、この二重の森は、ただの森ではない。
その深くにあるものを、そっと隠すように密集しているのだ。
隠されているのは、古い、小さめの・・・城。
その歴史は相当古く、本来ならばすでに朽ち果てているだろう。
何故朽ち果てないのか。
簡単である。そこには住人がいるのだから。
しかし、それだけではない。
その城には、密かに別名がつけられているのだ。
――もちろん、その城を知っている者の間で、だが。
『魔法の棲家』とは、文字通り、城にはたくさんの魔法が住み着いているため。
安全なものから、それこそ死と紙一重の危険なものまで・・・。
そんな不思議な城からはじまった、ひとつの物語。
決して、誰の目にもとまらぬような、一人の見習い魔術師の。
そんな、ちいさな旅物語が、今。
静かに、その幕を上げる・・・。












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